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mtx-hoge

2008-11-21

「はてなブックマーク3」リリース記念ロングインタビュー(1)

00:01 | 「はてなブックマーク3」リリース記念ロングインタビュー(1) - mtx-hoge を含むブックマーク

vmnaoyaにインタビューした。草稿。図を後でつける。見た目も後で変える。あとでっていつか知らないけど。

続きはまだ脳内インタビューからテープ起こししてないけど、エキセントリックなユーザビリティ担当の人とか、怪エントリではてなをコントロールしようとしていた古参ユーザーみたいな人に喋らせたほうがいいのかも知れない。

追記:ネタ記事と思われてるようなので(いやそうなんだけど)強調して書いとくと、はてブのオルタナティブな可能性として、この記事を一緒に仕上げていただける方募集です。

  • 「はてなブックマーク3」のスクリーンキャプチャをとっていただいた人、いらっしゃいましたら御一報ください。
  • この文章を「インタビュー記事」としてそれっぽくレイアウトしていただける方がいらっしゃいましたら、御一報ください
  • 「いや2010年にはこれがあったんだからこの記述はおかしいっしょ」「エンジニアはこんなこと言わない」とかいうツッコミも歓迎。

ちゃぶ台返し

―2012年11月 京都某所

「断片部」聞き手(以下、F)
まずは、リリースおめでとうございます。
伊藤直也(以下、伊)
ありがとうございます。正直、完成できてほっとしてます。
苦労されたんですか。
はい。今回はかなり(笑)
前回のリリースのときもそうだったと記憶していますが、コードをいちから書き直した、ということですか?
それもあるんですが、開発中に「ちゃぶ台返し」がありまして…ある週の月曜日、朝から近藤が「あんなあんな、昨日すごくいいこと思いついてんねんけど」とニヤニヤしながら近づいてくるので、あぁ、この時期にまずいな、とは思ったんですが…案の定機能追加のアイデアだったんですね。実装するかどうか、近藤と数時間話をしてみて、とりあえずやって損はないんじゃないか、と決めました。そこから、他のエンジニアも交えて話をして、結局、データベースの設計から変えるということになったんです。
それは、…えーと…いつのことですか?
…九月の中頃ぐらいかなぁ…
ってことは、2ヶ月弱で今日の発表内容までこぎつけたっていうことですか!
まぁ、かなりの部分、その前のコードが使えはしたんですけど。あ、こういうこと言うのはここが初めてかな(笑)
まーたまたぁ。
いや、ほんとほんと。…あの、いちいちそのあたりで絡んでたら話先進まないけど、いいですか?
…すいません、進めましょう。設計についてですけど、これまでの「はてなブックマーク」とは全く違うものになった、ということなんですか? 見た目、あまりこれまでと違いはないようなんですが。
新しい要素を追加した、ということですね。これまで通りの「はてなブックマーク」の使い方ができるようにはなっていますし、その部分はほとんど変えていませんが、ユーザーが自分のブックマークを選んでグループとしてまとめられるようになる、というところが、機能的に追加されています。
発表にあった「わたしの関心」機能ですね?
そうです。
えーと、機能の内容についてはあとでゆっくりお伺いしましょう。この「関心」機能を追加することにしたら、データベースに新しくテーブルが増えることになったのでそこを作り直した、みたいな理解でいいんでしょうか?
まぁ、ざっくりと言えば、そういうことですね。ユーザーとブックマークエントリが多対多の関係にあるところに、この間にさらにもう一つ「関心」という層が挟まることになります。それを数十万ユーザー規模のオーダーでスケールするように作る、というのが、実際の仕事になるわけです。
ふむ。…あのー、なんだか大変そう、というのはわかりますが、技術面は素人でどうもピンと来なくて…すいません…。
…そうですか(笑)

「関心」機能

そのあたりのご苦労は技術系のメディアにお任せするということで開き直って、今日は、「ちゃぶ台返し」をしてまで新しい仕様を取り入れた意図みたいなものに関して、伺っていければと思います。ユーザーが複数のブックマークをまとめられる、ということなんですけど、これはブックマークと同様に、何度でもまとめを作ることができるんですか?
そうです。ユーザーは任意の数のブックマークを登録できるのと同様、任意の数の関心を登録して、そこにブックマークをまとめていくことができます。ブックマークをバインダーでまとめて、そのバインダーをいくつも持てる、というイメージですね。もちろん、これまで通りの使い方で、「関心」機能を利用しなくても、使い勝手に変化はありません。
「関心」でまとめる、というのがイメージしにくいのですが、たとえば、どういう使い方を想定されていますか?
何でもいいのですが、例えばそうですね、最近の話題だと「オバマ大統領の再選はあるのか」といったテーマについて、ニュースで見たり検索して、ブックマークしておいたものを、そのテーマの「関心ページ」にまとめていくことができます。いろいろな見解をとりあえず全部放り込んでおいて、後で、保守寄りの見解、リベラル寄りの見解、のように、「関心」を別の「関心」として分割していくこともできます。
ひとつのブックマークは、ひとつの「関心」にしか入れられないんですか?
いいえ。一つの記事のブックマークが、たとえば「大統領選」という関心にも「人種と宗教」にも「メディア戦略」にも「日本の外交」にも綴じられる可能性があります。ですから、多対多の関係になっています。
「関心」は、みんなで共有するんですか?
タグのようにシェアする機能は、今後タイミングをみて実装していこうと思っています。当面、個人が自分のまとめとして使うことを意図しています。
なるほど。そのお話では、バインダーというか、自分のスクラップブックが沢山持てる、というふうにイメージすれば、いいでしょうか。
そうですね、そんな感じですね。ブックマークが記事の切り抜きならば、スクラップブックという喩えのほうがいいイメージかもしれませんね。複数のスクラップブックに一つの記事が貼れる、というのが、現実にはないところですが。

きっかけは、タグ検索への不満

そうですね。…えぇと、でもですね、その例だと、ブックマークにタグを振って絞り込む、というやりかたでも、済みそうですよね? 複数記事に「大統領選」というタグを振るのと同じようにも思えますが。
そうです。情報のつながり方としては、タグと変わりません。この機能がプラスの方向にはたらくのか、走らせてみるまでは見えない部分もありますし、今までのタグ検索で事足りる方は、それを活用していただければいいんですが…。どうも、タグの検索は使いづらい、というユーザーさんもいらっしゃるようだ、というのが、この機能を実装するそもそものきっかけですので。
ブックマーク検索が使いづらい、ということですか?
いえ、本質的に「検索」という仕組みが馴染まないケースがある、ということです。このことは、ユーザーさんに継続的なユーザビリティテストをお願いするなかで、見付かってきたんですけど。

「検索しても意味がわからない」

初心者の人は、自分のブックマークを検索したがらないということでしょうか。
じゃぁ、ちょっとこの話を突っ込んでやりましょうか。「はてな」がユーザビリティテストをやりはじめたのは、前回のブックマークのリリースの前ぐらいからだったと思うんですけど、はじめたばかりのころは、近藤が街に出て無理矢理連れてきた人に扱って貰うとか(笑)、あとは、有志のユーザーさんに会社に来ていただいて扱って貰うとか、やっていたんですね。
そういえば、最初は「はてなクラブ」っていう名前でしたね(現在の「しなもんクラブ」)。
そうですね。で、そういう場でわかることというのは、おもにUIの使い勝手の感想なんです。ボタンの場所がわからない、とか、説明の文言がわかりづらいとか。
さきほど、継続的なユーザビリティテストと仰いましたね。
そうです。通常のユーザビリティテストでは、たとえばブックマークレットでブックマークを登録して、その後タグを編集してもらって、そのタグで絞り込みができる、という部分を確認するんですね。テストのチェック項目は、その目的のためにUIに不便がないかということを確かめるものになっています。
そういうテストとは毛色の違うテストということでしょうか。
ユーザーさんに「はてなブックマーク」を1週間くらい継続的に使っていただくということを、一度ためしにやってみたんですね。そのときに、UIとは別の、もっと根本的なところに、なんとかならないの、という感想をいただいたんです。
「検索が使いづらい」といったことではなくて、ですか?
「沢山ブックマークしすぎて、検索しても何がなんだかわからない」といった感じですね。
タグ機能やタグ検索は説明しているわけですよね。
そうです。その方は、ソーシャルブックマークを使われたのも初めてらしく、最初の2,3日は、ずいぶん熱中していらっしゃったんです。一週間使って、週末で1000ブックマークとか、それくらいにはなってたかな。もちろんタグも活用されてました。ですので「わからない」というのは、タグを駆使して十分に使ってみた方が、自分のふったタグで引いた結果を見て、「わからない」ということです。

はてな村的使い方を目の当たりにする

どうしてなんでしょう?
最初は私も、仰っていることがわからない、「何がわからないのかわからない」という状態だったので、その方の操作されている画面を後ろで見ていたんです。それでまず思ったのは、ブックマークするURLや、タグの傾向が、私やまわりの「はてな」の社員の使い方とは、かなり違っていたということですね。あぁ、こういう使い方をするユーザーさんもいるのか、と思いました。
意外な使い方をされていた?
いえ、…そういう使い方をする方がいらっしゃる事は知っていたんですけど、生でそういう傾向の使い方をする様子を見たのが初めてだった、というか…。
詳しく伺ってよろしいですか。ブックマークするURLや、タグの傾向というのは…?
えぇと…そうですね、まぁ、一言で言えば…あんまりこういう言葉は使いたくないんですが…「はてな村」的な…。
つまり、恋人ができるできないという身の上相談や、理屈で重箱の隅をほじくりあうような話題…ということでしょうか。
…今日はそういうことをはっきりと言う係になってください(笑)…少なくとも、技術系の話題ではない、ということで。

ブンケイ的

仮に、文系的ってことにしときますか。
それもなんか、文科系の方に叱られそうな。括弧付きやカタカナで、ブンケイ的、というか。
技術者の人が関知する暇がない領域っていうことですかね。そういう話題には、どんなタグが振られるんでしょうか。
「議論」とか「人生」とか…もっと感情的なタグもありましたが…たとえば…んーちょっと思い出せない…。
…それ、私が例を言うんですか? やめましょうよ(笑)。えぇと、ネガティブなタグやコメントの社会的な是非という話題になると、話が大きくなりますので、そのへんは脇においとくことにしましょう。
そうですね、あくまでそのユーザーさんの使う場で何が起きているのか、ということを、そのときも見ていましたし、最初に、1週間どうぞ自由にやってください、とお願いしました。
そのユーザーの方は、ブンケイ的なエントリをたくさんブックマークされたわけですね。後になって、自分のブックマークを、たとえば「人生」というタグで検索して、絞り込みをかけられるようなところまで、継続して使っていただいた。
そうです。

「人生」タグと「perl」タグは異質なもの

…って、「人生」タグで検索とか、しますかね?
それがまさに、そのユーザーさんの疑問だったと思います。「人生」で検索すると、そのユーザーさんが「人生」を感じたエントリが絞り込まれて、ずらずらと並ぶんですね。…いや、当たり前ですけど(笑)。そのユーザーさんが困惑されたのは、確かに自分はこれらに「人生」というタグを振った、でも、それを後から串刺しで眺めることができても、これをどうしていいかわからない…ということなのだと思います。
複数のタグで絞り込めばもっと範囲が狭まりますけど、そういうことじゃなさそうですしね。
なんとなく「人生」を感じたブンケイ的エントリに、それ以上のタグをその場で振るのは、難しいですしね。そういったエントリは、私なんかがクリップする、たとえば「perl」や「javascript」といったタグが振られるようなエントリとは異質なものじゃないかな、と、思うようになりました。それを資料にするわけでもないし、後で検索するかどうかわからないけれども、読んだものが何か心に残ってしまうから、とりあえずクリップしておくか、という使い方なんだと思います。

ブックマークする意図を掬い取れているか

後で見るかわからないものに、とりあえずのブックマークをする必要が、あるんでしょうか。無意味じゃないですか?
無意味かどうかは、私が判断することじゃないですね。
それはそうですけど…。
…と、昔は突き放してたような気がしますけど、私ももういい歳ですので(笑)。確かに私が「はてなブックマーク」を使うときには、ブンケイ的なエントリはほとんどクリップしません。しかし、だからといって、ブンケイ的なエントリのクリップが無意味だとは思いません。ブックマークするからには、その記事を読んだだけでは済まなかった、何かの意図があるのだと思います。
読んでなんとなくモヤっとしたからクリップ、みたいなレベルのブックマークにも、意図はあるだろう、ということですか。
はい。そういうユーザーさんが使ってみて困惑することがある場合、その人の使い方がおかしいのではなく、システムがその人の使う意図をうまく掬い取れていない、ということなのかも知れません。「はてなブックマーク」に関して言うと、最初は、自分が技術情報を読んで残すために使いやすいツールということで作り始めたわけですし、その方向性に限界はあるとは思うのですが、それでも、使い方の可能性を広げるためにできることがあるのなら、やったほうがいいとは思ってます。
なるほど。

「ネガコメをどうするか」よりも「ネガコメはなぜ起きるか」が知りたかった

ネガティブコメントの話題は今避けて話していますけど、ちょっとだけ触れますか。感情的なタグやコメントをつけない人が、つける人のことを「オレはやらないけど、卑しい奴がネガコメをつけてまわってるんだな」というふうに外部化するのは簡単ですね。でも、それでは議論が政治的社会的なレイヤの話に出てしまって、システムの話にならない。まぁどこかで社会的責任を感じて、頭を下げて何らかの基準を導入するという落とし前を付けることになるのでしょうが、「なぜ人はどうでもいい記事をブックマークしてどうでもいいことを言うのか」という疑問の答えが出ていないまま、そういう片付け方をするのはやめよう、と思いました。
なんかわからんけどとりあえずネガコメ封じてあやまっとけ、というのは、負けてる感じしますよね。
あんまり意地を張ってばかりってわけにもいきませんけどね。
それは、ネガコメの評価システムなんかへの反省もあるんでしょうか。
失敗だとは思いたくないですが…モデレーションを実装するとき難しいのは、モデレーションに携わる人がどんどん先鋭化していくことなんですね。不愉快なものを見ない、もう一歩進んで、NGユーザーを共有する、みたいなことは仕組みとしては簡単ですが、それが実装されたときにどうなるかというと、数人の熱心なユーザーさんの編集したモデレーションを、多くの人が「まぁこんなものか」と使い続けるんですね。そしてモデレーションの世界では、別の種類の諍いが絶えないということになります。なるだけそれが表面化しないようにバランスを取るのが難しい、と、いつも感じています。
はてなブックマーク公開当初から「ブックマークという場の社会的責任が」…という意見は繰り返し言われてきましたね。そのくせ、そういう意見では、ネガコメの動機みたいなものについては「自己顕示欲」とか「ネットの匿名性がなせる暴力」だとか、まぁ言ってしまえば「オレはよくわからんけどそういう奴もいるんじゃないの」というブラックボックスに入ったままですよね。そんな認識で同じことを言い続けられることに感心しますねぇ。
…えーと、今のは、私が言ったわけじゃないので…(笑)…。とにかく、そのテストの場でも、一部のユーザーさんのブンケイ的なニーズをうまく掬い取れなかったものが、ネガティブコメントみたいなものとして暴発しているのかも知れないね、そこをうまくエンジニアリングで解決してあげることができたらいいね、という話をしました。
そのことが、今回社内で議論されて、仕様に活かされたのですか?
いえ、そこから実装までにはかなり間が空いています。タグによる検索になじまない領域があるのかも知れないね、と言われても、タグやエントリの中に含まれる単語を使って統計的処理をする、という仕組みを、大きく組み上げてしまっていて、「関連エントリ」みたいなものは、比較的いい精度でまわっていましたから。
そこをひっくりがえすわけには、いきませんよね、ちょっと(笑)
見えにくい問題があって、手を入れれば何か変わるかもしれないとわかってはいたのですが、それを解決するアイデアがない、という状態でした。

(つづく)

(次回以降の見出し予定)

  • 「関心」がタグの代わりになる人もいるかも知れない
  • みんなが「まとめブログ」を作れる
  • ブックマークの責任を個人に引き戻す
  • 「人生」というタグが意味を持つのはせいぜい3日
  • 無名のタグと遅延評価
  • 資料の収集から、ヒューリスティックな勉強へ

付記(2011.12.09)

途中で話がよじれて行ってしまっているな…。

よじれはじめる前の「なぜ、関心はタグではなくてスクラップを綴じるバインダーとして実装されているのか」という話題の直接的な答えが書いてない。

「新聞などを見ていて生まれる関心は、その起点では言語化不能なもの。言語化不能ではあるが、確かに関心というのは引き起こされてそこにあり、その関心が、特定の記事を拾い上げ、結びつける。それらが後付けで〈これは**の話だったのだな〉とタグづけされることもあるが、それとて、関心の名前ではない。むしろ記憶の粒度としては、ある程度まとまった後の関心に対してタグが振られていくくらいが自然」

とかかな。今だと、deliciousにまとめ機能などがある。