2007-09-10
初音ミクは中田ヤスタカの夢を見るか
というわけで、ニコニコで大流行中のVOCALOID、初音ミクである。
VOCALOIDないし初音ミクを知らない人も居るかもしれないので簡単に説明すると、歌唱専門の音声合成ソフトである。機械合成とは思えないようなリアルな歌唱を提供してくれるソフトであるが、まぁ、それでも機械臭さは残っている。以下にサンプルがあるので聞いてみてほしい。
http://www.crypton.co.jp/mp/pages/prod/vocaloid/cv01.jsp
さて、中田ヤスタカであるが、私のとぼしい音楽知識では、女性ボーカルにあえて機械っぽく唄わせる、ないしそういったマスタリングをすることを一つの特徴としていると記憶している。あえて機械っぽいボーカルというのに何かしらのメッセージ性を仮託しているのであろう。
詳しくはその辺に詳しいd:id:inumash氏が語ってくれそうな気がするのだが、まぁ、この初音ミクの登場によって、そのコンセプトは何かしらの影響を私は受けざるをえないのではないか、と私は考えるわけである。あえて人間のボーカルを機械っぽくすること、というのと、機械のボーカルを人間っぽくすること、この二つのコンセプトはお互いに影響をせざるを得ないだろう。
また、同時に機械のボーカルが機械っぽく唄うというようなものも既にニコニコでは出てきており、その素材には中田ヤスタカの楽曲も用いられているというのがある。そしてこれらは元々の楽曲の特徴と、高度な技術により、かなりそれっぽく仕上がっている。既に「Perfume用無し」といったようなコメントもニコニコ上では散見されているのである。
機械がすでに出来ることを、あえて人間がやる意義はなんかのか。あえて機械っぽくすること、というのが初音ミクを目の前にした人間のボーカルにとってどういった意味を持つのか。これは、このコンセプトにどういった影響を与えていくのか。少なくとも今のまま同じようにするわけにはいかないだろう。
このエレクトロ・ワールドを初音ミクに唄わせ、アイドルマスターの映像と合成させたムービーを見てみよう。恐ろしいことに、これは全て人間がコンピュータで作り出した完全にバーチャルなフィクションの世界なのである。翻って、inumash氏のエントリPerfumeは匿名の夢を見るか。~PerfumeとDAFTPUNK~での議論は、顔をさらさず、ライブは機械を弄るだけのDAFT PUNKとエフェクトで音声を変え、人の思惑で動くアイドル*1であるPerfumeの比較によって議論を組み立てていたが、これらはDAFT PUNKもPerfumeも、そのパフォーマンスを直接にやっているのは生身の人間であるという部分があった。しかし、このエレクトロ・ワールドのムービーはそのパフォーマンスを行っているのはコンピューターである。いや、厳密にはそのコンピューターを使っているユーザである。
しかし、その固有性は誰が作ったか、ではなく、どのキャラクターか、という部分に収斂されているのではないか。アイドルマスターを作った有名・無名のスタッフや、初音ミクをうたわせた人間の固有性よりも、そのキャラクターの固有性の方が重要になっているのではないか。
このVOCALOIDは、確かに人間に比べれば歌は上手くないかもしれないが、しかしそれでも音楽シーンに単なるツールとしてではなくて、それ以上の波紋を投げかける存在になるかもしれない。
*1:のアーキタイプ