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2007-05-04

物書きにとっての2種類の経験 17:44 物書きにとっての2種類の経験 - いつか作ります を含むブックマーク はてなブックマーク - 物書きにとっての2種類の経験 - いつか作ります 物書きにとっての2種類の経験 - いつか作ります のブックマークコメント

物を書く人間には経験が必要だ、とはよく言われるが、この「経験」には2タイプある。

ひとつは、具体的に何かをやった事がある、ディティールを知っている、という意味での経験。喫煙者が書くのと非喫煙者が書くのでは、喫煙に関する描写の説得力やリアリティがまるで違う(勿論、ディティールを描き出す表現力と観察力がある事前提だが)。論説を書くにしても、「経験者談」にはやはり説得力がある。

もうひとつは、人生経験値を積むという意味での経験。恋愛するとか、バックパック背負って東南アジア回るとか、そういう類のもの。考え方の引き出しを増やすような経験。

「思考の越境」

物書きに求められるのは後者。

元エントリで「思考の越境」といういい表現があったので拝借するが、一言でいうと前者の経験は「思考の越境」に結びつかない。喫煙すれば喫煙者の気持ちは分かる、それは当たり前だ。じゃあ、嫌煙者の気持ちは分かるのか?と。確かに経験は増えているが、結局、自分の経験の範囲内でしかものを言えていない状況には変化が無い。越境したのは自分であって思考ではない。自分の立ち位置が変わっているだけで、今度は別の領域が柵の向こうに行っている。この方法でキャパシティを増やすのには限界がある。

喫煙の例で言えば、「思考の越境」とは、自分が吸うか吸わないかを問わず、ヘビースモーカーや嫌煙者の思考をトレースできる能力なのではないか。

addiction

後は重箱の隅。

addiction

【名】 依存症{いそん しょう}、中毒{ちゅうどく}、熱中{ねっちゅう}すること、耽溺{たんでき}、熱狂的傾倒{ねっきょう てき けいとう}、常用{じょうよう}、麻薬常用癖{まやく じょうよう へき}、嗜癖{しへき}

人間のキャパシティを増やすaddictionとは、熱中や耽溺、熱狂的傾倒であって、常用や依存症、中毒ではない。

あ、むしろ中毒から脱しようとした経験があるのならば、それは良い経験か。多分、要は、自分の意思で主体的に何かに熱中する経験が大事なのであって、反復性はどうでもいい。主体性を軸に据えるならば、薬物の毒性で依存症になるのは主体性に欠ける行為であり、それほど経験値を増やしてくれないはずだ。

煙草

ちなみに、ニコチンには短期的に集中力を高める作用があるので、そういう意味では物書きに向いた嗜好品ではある。ニコチン欠乏症状の時には逆に能力が低下するけど。

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