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甘くておいしいおイモだよー このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-11-29

現時点のJコミは「単行本が出せる程度の商業的成功を収めている作品」にしか目が向いていないから胡散臭い 現時点のJコミは「単行本が出せる程度の商業的成功を収めている作品」にしか目が向いていないから胡散臭い - 甘くておいしいおイモだよー を含むブックマーク はてなブックマーク - 現時点のJコミは「単行本が出せる程度の商業的成功を収めている作品」にしか目が向いていないから胡散臭い - 甘くておいしいおイモだよー

「絶版マンガの図書館」と大風呂敷を広げているにも関わらず、だ。「にしか」が言い過ぎだとしても、単行本が刊行されない程度のページ数しかない作品について、その作者にいかに十分な対価を支払うかについて何ら考えを示していないのは明白である。「原作はすでに成功している」というのはよくできた皮肉だ。ラブひなは紙媒体で「成功」したのだから、Jコミで成功するのは「当然」と思われても仕方がないところだろう。では、紙媒体で「成功」しなかった作品はどうか? 連載化を判断する三回の読み切り合計18ページで消えてしまった作品は?(4コマ誌にはそのような作品がごまんとある) そのような作品の作者に対して、Jコミはどの程度の対価を支払うことができるのか? ここにおいて、ラブひなのデータは全く参考にならない。「成功」体験の有無からして違うし、そもそも知名度が違いすぎる。

Jコミは零細漫画家を救う」という意見が散見されるが、逆だ。Jコミは、少なくとも今のところ、せいぜい「単行本が出せる程度の商業的成功を収めている作品」しか救えない(さらに、本当に救えるかどうかも、現時点では未知数である)。さらに言えば、そのような作品を集めた「図書館」は、図書館としては次善であるかもしれないが、最善では決してない。さて、零細漫画家を救うという観点では、まだ雑誌の方が機能すると言える。人気作品で客を引きつつ、これからの作品に読者の目に留める機会を与え、そこから次の人気作品を生み出していく。雑誌は言うなれば「富の再配分」を実現するシステムであるのだ。

その観点から、最後に提言をひとつ。Jコミは「雑誌編集機能」を利用者向けに用意するべきである。Jコミに登録された作品を利用者が集めて並べ替え、ひとつのPDFとしてパッケージ化し、Jコミ上で配信できるようにする(もちろん、コンテンツの内容とマッチした広告をPDFに自動的に挟む)。これにより、Jコミに登録された全ての作品は新たな「成功」のチャンスを得ることができるようになるだろう。そして、商業的な成功を既に収めている作品は、第二の人生(「人」と言うのは変だが)として、他の作品の次なる成功を支えるのだ。こうして漫画が漫画を支える土壌ができれば、商業的な成功を収められなかった作品も自ずとJコミに集まり、「絶版マンガの図書館」としても豊かなものになるだろう。

nadegatanadegata2010/11/30 06:29最初読んだ時は正直「?」と思いましたが、要は「雑誌形式から外れた作品流通が弱肉強食を加速させる」という例のアレかなと。
最初僕が抱いた疑問は、「Jコミは多くの零細漫画家を救わないかもしれないけど、そこで救われる零細漫画家も出るかもしれず、マイナスがあるでなく「プラスの少なさ」で「胡散臭い」とまで叩くのはいかがなものか」というものです。逆、じゃなく、その粋に達してないだけかなと。
商業的に成功した漫画でも絶版になっているものもいくつもありますし、それを掘り起こすだけでも有意義だと思います。どこまで救うか、を考えているとキリがないのではとも。例えば単行本になってない漫画にも救済を、というのは有意義でしょうが、それをJコミがするかどうかは中の人次第でしょう。
「逆」という表現だと零細漫画家が今より窮地に、という意味合いになると思いますが、それはおそらくは雑誌形式が廃れる先を見越してだと思いますが、ちょっと言い過ぎなんじゃないかと感じました。

KenAkamatsuKenAkamatsu2010/11/30 14:44私のブログの、この辺を読んでいただければ。
http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/20101114/p1

SweetPotatoSweetPotato2010/11/30 20:41コメントありがとうございます。まとめてお返事させていただきます。

まず、id:nadegata さんの「Jコミは多くの零細漫画家を救わないかもしれないけど、そこで救われる零細漫画家も出るかも」「商業的に成功した漫画でも絶版になっているものもいくつもありますし、それを掘り起こすだけでも有意義だ」には同意します。反論の余地無く、Jコミはそのような作品や作者を救える可能性があるでしょう。あと、「逆」は確かに言い過ぎています。id:nadegata さんの言葉をお借りして「その粋に達してない」と訂正します。

さて、私が「胡散臭い」と言っているのは、作品の紙媒体での成功の度合いにより収益に差が生じる可能性について、id:KenAkamatsu さんが上に示されているURLのブログ記事では(そして他の記事でも)全く言及がされていない点です。『ラブひな』? 『スナッチャー窃』? いいでしょう、これらの作品は単行本化されるに十分なページ数が残っており、ウェブ上での知名度もある。しかし、そうでない作品については? 例えば『ぼくたちの戦線』については? 私が記事中で述べた「連載化を判断する三回の読み切り合計18ページで消えてしまった作品」については? 前者二作品と比べたら「何その作品?」というところでしょう。そしてなぜ、紙媒体での成功の度合いについて考慮せず、そのページ数のみによって収益を試算しているのでしょうか? 仮に考慮しているとしたら、なぜJコミは今回のβテストの期間までに仲間作りをせず、『ラブひな』以外のコンテンツを増やせなかったのでしょうか?

穿った見方をすれば、現時点でのJコミの取り組みは、上記のような不完全な試算を甘言に、作者からの括弧書きの「同意」のもとで無償でコンテンツを集めるも、その作者が想定する対価を返せない可能性がある仕組みとも取れます。作者にしてみれば自分の作品を想定より安く買い叩かれた形になるでしょう。ここで「商業的には価値ゼロである絶版作品から少しでもプラスが生まれるならいいじゃないか」という反論は的外れで、論点はJコミが試算する収益と実際に得られる収益の差にあります。もちろん、この差をゼロにすることは不可能です。しかし、試算を精確にすることはできます。現在のJコミは、少なくとも、試算のためのパラメータ「紙媒体での成功の度合い」を考慮していません。その点を私は「胡散臭い」と言っています。

SweetPotatoSweetPotato2010/11/30 23:33記事の主題とは関係ありませんが、Jコミ関連の話題を備忘録的にコメントしてみます。
こちらは技術的な問題っぽいので、技術的に解決すればよさそうですね。

J-ComiからダウンロードしたPDF漫画をハックしてみる
http://racine.in/blog/2010/11/j-comipdf.html

cf: 【 FAQ (よくある質問) 】 - (株)Jコミの中の人
http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/20101118/p1
> Q.悪意的に広告ページなどのファイルの書き換えなどをし、御社と同様の方法で2次使用3次使用と氾濫が生じ余計に著作権という物が守られなくなるのでは?
> A.PDFの暗号化強度はほどほどに固く、一般人には事実上不可能だと思われます。(確かに100%安全ではありませんが)

usoi0416usoi04162010/11/30 23:34どうも言いたいことがエントリだけではよくわからなかったのですが、つまりは現時点ではJコミ側が「紙媒体での成功の度合い」が高い作品、つまりすでにある程度の知名度があり一定以上のダウンロードが見込まれる作品を基準にした楽観的な数字しか出してない、ということですか?
たしかにほとんど収入にならない作品というのはそれなりの数でてくるでしょうね。
人気と知名度がある作品と、人気も知名度もない作品で収益に差が出てくるは当たり前の話ですが、たしかにJコミサイドには甘い話しか出てないのは胡散臭いかもしれません。
これは広告を集めとうこともあるのでしょうが。
新しい試みでやってみなきゃわからんところはあるのだろうけど、今後はもっと具体的な数字を出すべきであるとは私も思います。

ただ、JコミというのがもともとP2Pでの海賊版流通を正当化させない、少なくとも読まれた回数に応じて見返りのある場をというコンセプトだと理解してますので、そこに出版編集的な役割を求めるのは場違いに思います。
そもそも「十分な対価」とは具体的にどのような対価なのかという定義もされてないですし、そういう意味ではこの記事も胡散臭いです。

SweetPotatoSweetPotato2010/11/30 23:57id:usoi0416 さん、コメントありがとうございます。この記事について、胡散臭い箇所はどんどん指摘して下さい。

コメント第一段落については、だいたいそういうことです(>つまりは〜ということですか?)。そしてそれこそが、私がこの記事で述べたいことです。

第二段落の「十分」な対価とは「ある作品の作者が、自身の作品の紙媒体における成功の度合い、および既にJコミアップロードされた作品の紙媒体における成功の度合い・ダウンロード数・広告クリック数を照らし合わせて見たときに、その作者が納得できるだけの」対価という意味です。Jコミのβテストではラブひなしか取り扱われておらず、そのデータはこれからJコミを利用しようとする多くの作者にとって「納得できる」ものでありません。

JコミがP2Pでの海賊版流通を正当化させないというコンセプトであることは理解できますし、その意味でJコミは次善の取り組みだとは思います。(ただ、「海賊版流通を正当化させない」という点では、上の私のコメントで上げた通り、解決すべき技術課題が残っているとは思います。)

KenAkamatsuKenAkamatsu2010/12/04 16:04今のところ、「5~10種の作品の(同じ位置の)広告枠をまとめて売却し、人気作品と不人気作品を均(なら)す」予定です。
人気作品の利益が不人気作品に食われる危険性については、「人気作品は規定クリック数を達成しやすく、広告を何度も入れ替えることが出来る」ので回避できます。
額に関しては、β2テスト数作品で実際に現金のやりとりを行いますので、検証願います。
技術問題に関しては、asciiのインタビュー(「国境を超え勝手に増殖していく広告」の項)をご参照下さい。http://ascii.jp/elem/000/000/573/573268/

SweetPotatoSweetPotato2010/12/04 17:57コメントありがとうございます。Jコミの取り組みを批判する記事でありながらコメントしてくださることに感謝しております。

複数の作品を束ねて人気を平均する、という取り組みは理解しました。また、額の絶対値については、私自身はそれほど興味がありません。β2テストでの広告主や作者の皆様と納得していただければそれで、というところです。

むしろ「β2テスト」なんて言葉を聞いてしまった私としては、そこに参加する作品の方に興味がわいてきました。「人気作品」から「不人気作品」まで幅広い作品で以ってテストを行えば、実運用に入ったときに幅広い作者の方々に有益なデータが提供できるのではないかと思います。

技術的な課題については、まだ疑問が残ります。それは【これまでP2Pに流れていなかった作品】についてです。これからJコミにそういった作品が集まれば、そこから広告を抜かれてP2Pに流されまくる可能性は捨てきれないわけです。ただ、これについては、作品がP2Pに既に流されていようがいまいが「作者に1円も入らないという状況」には変わりないので、そこまでキッチリ対応しなくてもいいのかなあとは思いました。

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